去る1月24日(木)、日本からシェリー・アカデミー・ツアー御一行様がボデガス・トラディシオンにいらっしゃいました。
私は日本担当として、通訳を担当いたしました。
こちらのツアーは毎年日本のシェリー委員会が主催しているもので、参加者のほとんどが飲食関係やワイン関係のプロの方々なので、トラディシオンは特別なツアーをご用意いたしました。
まずは一般の方には公開していない、古文書館(アーカイブ)へご案内。
ボデガス・トラディシオンのオーナーであるリベイロ家は1650年からヘレスでワインづくりをしている古い家系です。そのため、創業当時からの古い文書を沢山保管しています。
それを整理、デジタル化するために歴史家を置いてその作業にあたっています。
担当者から実際に古文書をお見せし、ポイントを説明いたしました。
とても質のいい紙とインクを使っていたので、かなり保存状態のいい文書が沢山残っています。中には中国との取引を示す文書などもあり、皆さん興味深く見ていらっしゃいました。アーカイブの後は、トラディシオンの新しいプロジェクトである、ヘレスのワインづくりに関する古い写真のコレクションをご覧いただきました。現在アーカイブの下に幾つかの大型スクリーンが設置されており、コレクションの一部を見ていただくことができます。これらの写真の一部がトラディシオンのエチケットにも使われています。
歴史のお勉強のあとはやはり通常のツアーではお見せしないフィノの蔵にて、バレルテイスティング。
ソブレタブラから、クリアデラをいくつか、そしてフィノとして出荷するためのソレラと、これからアモンティリャードのソレラ・クリアデラシステムに行くソレラからテイスティングをしていただきました。
どのようにトラディシオンのフィノが育っていくのかを体験していただけたと思います。
そして別の建物にあるアモンティリャード、オロロソ、パロ・コルタドをバレルテイスティング。特にアモンティリャードはいくつかのクリアデラも試していただきました。
途中で参加者の方から「このクリアデラの時点でも十分おいしいのに、どうしてトラディシオンではさらに熟成させるのですか?」とのご質問。
そこで、今回ツアーを担当させていただいたデービスより、「ぜひアモンティリャードのソレラを飲んでみてください。このワインのポテンシャルが十分に発揮されているのを感じていただけると思います」との回答とともに、アモンティリャードのソレラ(平均熟成40年超)が配られると、皆さん溜息とともにそのワインの長い余韻を楽しんでいらっしゃいました。
甘口ワインとブランデーは、ボデガに併設してある美術館で絵を見ながら楽しんでいただきました。トラディシオンにはアンダルシアの画家をはじめとするコレクションがあり、小さいながらも非常にいい美術館であると定評があります。
間近にゴヤやベラスケスの絵を見ながら、長期熟成のワインをゆったりと楽しんでいただきました。
アカデミーツアーでは朝から夜までシェリーの講義やボデガ見学をしているので皆さんお疲れだったと思います。
さらにトラディシオンでは古文書、沢山の種類のシェリーのバレルテイスティング、絵画と盛沢山だったのでお疲れだったはずです。にもかかわらず、一生懸命メモを取ってくださったり、写真を撮って記録に残してくださったりと、真剣にボデガ見学をしてくださいました。対応させていただいたボデガのメンバー全員とても感激いたしました。改めて遠路はるばるお越しくださった皆様に感謝いたします。
本当はたくさん写真を撮りたかったのですが、通訳をしているとその余裕が全くなく、今回のブログはほとんど写真なしです。申し訳ありません!
もしアカデミーツアーにご参加くださった方で、「この写真使ってもいいよ」という方がいらっしゃいましたらぜひご一報ください。