6月12日(月)、13日(火)とCOPA JEREZ(コパ・ヘレス)というイベントがヘレスのシェリー・マンサニーリャ原産地呼称統制員会にて開催されました。
このイベントは年度によって参加国が少し変わりますが、主にスペイン、ドイツ、ベルギー、デンマーク、アメリカ、オランダ、イギリスで開催される地区予選を勝ち抜いた、シェフとソムリエ1名ずつで構成されたチームが、シェリーとお料理のマリアージュを競い合う大会です。残念ながら日本では地区予選が開催されていないため、この競技には参加することが出来ません。
しかしながら、今年はこのコパ・ヘレスでは二日間にわたってフォーラムが開催され、シェリーに合うとされる食材などの勉強会も開催されます。その特別ゲストとして、日本から天ぷらのつな八が参加することになりました。このフォーラムでは、調理のデモンストレーションが行われ、その後には試食タイムも設けられるとのこと。スペインでも近年の和食ブームでバルやレストランのメニューでもTempura(テンプラ)という表記は見かけますが、日本人からみたら「フリッター」であって、天ぷらとは到底言えるものではありません。常日頃から『本物の天ぷらを一度スペイン人に食べてほしい!』と思っていた私の願いが叶うことになったのです!
デモンストレーションはエル・プエルト・デ・サンタ・マリアの名店エル・ファロと同じ枠でされました。エル・ファロも魚のフライ(スペインではペスカド・フリートと言います。)でも大変有名なので、さながら「日・西の魚介類の揚げ物」の共演でした。
つな八 つのはず庵の野島店長の職人の技に会場が静まり返り、まるで泳いでいるかのようにボケロネスという小さなイワシを揚げる技には会場からどよめきが起きました。そして、天ぷらを揚げているときの香り。日本から持ってこられたごま油の香りが会場いっぱいに広がります。スペインではごま油は一般的ではないので会場の皆さんは「なんだろう?この香りは?」と口々に話していました。
いよいよ試食タイム!エル・ファロはカキを揚げたものを用意。カキの自然の塩味と磯の香りがマンサニーリャに最高に合います。そして、つな八はオーソドックスな天ぷらのセット。お野菜やエビの天ぷらを塩と天つゆで楽しむことが出来ました。デモンストレーションで皆さん「本物の天ぷらを食べたい!」と思っていたので、つな八のブースの前には長蛇の列が出来ました。この後のプログラムの関係で、すぐにバスで別会場に移動しないといけないので、事務局の方からバスに乗るように促されても「天ぷらを食べるまでは乗りません!」と皆さん口々におっしゃるほど。そして、初めての天ぷらを食べた後の幸せそうな顔、顔、顔。見ている私もうれしくなりました。もちろん試食をした皆さんはマンサニーリャとアモンティリャード、どちらが天ぷらには合うのか、入念なチェックも忘れてはいませんでした。
ブースではつな八の尾崎料理人、インポーターの株式会社千商の大島さん、六本木のレストラン、フェルミンチョからいらしていた青木シェフに作元マダムがフル回転で調理、盛り付けをしていらっしゃいました。作元マダムの素敵な浴衣姿にも皆さんの注目が集まっていました。
シェリーの学会をはじめ、マリアージュについて書かれた本、ウェブサイトでも「シェリーとお寿司」や「シェリーと天ぷら」とよく言われますが、(特にシェリー三角地帯では)本物を食べた方はまだまだ少ないのが現状。ぜひ、こういった機会をまた作っていただきたいものです。