先日ヘレスのスーパーマーケットにレブヒート(Rebujito)の特設コーナーができていました。
まずレブヒートとは、フェリア(お祭り)でよく飲まれるシェリーカクテルです。
作り方は氷の入ったタンブラーにマンサニーリャかフィノ1/3に7upやスプライトを2/3を加えたものです。お好みでミントを添えても良いでしょう。
セビーリャやサンルーカルのフェリアでは、マンサニーリャがよく使われ、ヘレスではフィノがよく使われます。
まずこのスーパーのレブヒートの特設コーナー。
目を引くのがフィノ・チペン(Fino Chipén)が2.49ユーロ。(750mlサイズのボトル)
これは原産地モンティーリャ・モリレスのアルべアール社(Bodegas Alear)のフィノです。シェリーではありません。モンティーリャ・モリレスのワインです。
そして、このデコレーションにはヘレスのボデガ、ゴンザレス・ビアスのポップ(旗、樽)が使われています。
ヘレスに本社を構えるボデガのポップを使っているにもかかわらず、他の地域のワインを置いてあることにとても驚きました。
これはゴンザレス・ビアスに対してもアルべアール社に対しても失礼では、と感じました。
スーパーマーケットとその企業の間で合意の上で販売されているものですから外部からあれこれ言うのは不適当かもしれませんが、750mlのワインが2.49ユーロ(約345円)で販売されていることも大きな問題だなと思います。原材料であるワイン、ボトル、ラベルをはじめとする原材料、流通コストなどを考えるといったいどれほどの利益がボデガに出るのか…
ましてやここの所の原油高ですべてのものが値上がりしています。毎月どんどんコストが上がっていて、ボデガの皆さんはとても頭を悩ませているところです。
もちろん一消費者としては、安くていいものが手に入るのであればそれに越したことはありません。しかし、生産者の苦労を間近で見ている今となってはこれは非常に良くないことであると思います。
そして、自分が生まれ育った土地にプライドを持って、その地酒を作っている生産者さんの事を考えると胸が痛いです。
こういったことから、シェリーやワインだけでなく、自分の消費行動自体も見直さないといけないなと考えさせられる出来事でした。
【追記】
この出来事があった数日後、別のスーパーマーケットのチラシには以下の写真が掲載されていました。
原産地モンティーリャ・モリレスのクルス・コンデ社のフィノが、2.15ユーロ(約300円)から1.69ユーロ(約235円)のディスカウントの広告です。
本当にどこから、いくら利益が出るのか非常に心配になります。
また、安く売られていることからモンティーリャ・モリレスのワインは低品質であるというイメージを持っている人も決して少なくありません。
もちろんヘレス地域のスーパーマーケットには1本3ユーロ前後のシェリーも販売されており、これも同様に私は憂慮しています。
シェリーにしろ、モンティーリャ・モリレスのワインにしろ、時間も手間も非常にかかるお酒です。これらのお酒が、そして生産者たちが正当な評価と報酬を得られるような潮流に持って行かないといけないと改めて感じました。