シェリーマスターコース初日、朝いちばんに向かったのはゴンザレス・ビアス社所有の畑であるカナリエラ(Viña la Canariera)です。
畑を管理する責任者のチームのサルバドールさんと、ホセ・マヌエルさんが畑で行われる年間の作業についての説明をします。
このあとに畑での朝食。このカナリエラの畑にある建物は少し小高い位置にあるので畑の全体を眺めながら朝食をとることができます。今年はゴンザレス・ビアス社のぶどうの収穫はお盆過ぎから始まり、わずか1週間ほどで終了したので、この日はすでに畑にはぶどうはひと房も残っていない状態でしたが、青々としたぶどうの葉と、どこまでも続く真っ白なアルバリサの土壌が朝の光に輝いてまぶしい限りです。
ホセ・マヌエルさんからぶどうの樹の剪定について実技を交えてご説明いただき、そのあとは「ソレオ」というぶどうの天日干しの工程を見せていただきました。ソレオは甘口のシェリーを作る際に行われる工程で収穫後のぶどうを天日に干すことによって、糖度を上げるというものです。へレスではあまり見ることができません。しかもこの日はへレスでは昔栽培されていたものの、一時期ほぼなくなってしまったといわれるティンティーリャ・デ・ロタ(以下ティンティーリャ)という黒ぶどうもソレオされてました。今でも決して生産量の多くないぶどうです。最近その魅力が見直され、ゴンザレス・ビアス社の他に、ルイス・ペレス社、バルバディージョ社もティンティーリャ種で作られたワインをリリースしています。
さらにこの日は、トラクターのような機械で『アセルピア』という溝を畑に作るところも見せていただきました。この『アセルピア』は雨がなかなか降らないへレスでの知恵で、雨が降った時に溝に水が溜まって、地中深くまで土壌に水がしみこむようにするのです。また、へレスの畑は『アルバリサ』という石灰質の多い土壌がメインのところが多く、この土壌が保水性に大変優れています。よって、雨が少なくてもぶどうが枯れずに生育するのです。
朝のひとつめの講座からなかなか普段見ることのできないものをたくさん見ることができ、とても充実した時間を過ごすことができました。
(つづく)