長いようであっという間に終わってしまった一時帰国。
その帰りのマドリードからへレスに向かう高速列車の中で読んでいた新聞に、衝撃的な記事が掲載されていました。
エミリオ・ルスタウ社の醸造責任者のマヌエル(マノロ)・ロサ―ノさんがお亡くなりになったという記事でした。
今年に入ってから長期入院されているとは知っていたのですが、お若いのできっと回復してまたボデガに戻られるだろうと信じていただけにとても残念です。
マノロ・ロサ―ノさんは1999年から同社のすべてのシェリーの醸造の責任者となりました。彼の業績は数え切れないほどたくさんあります。2008年、ビーム・グローバル社(当時)からラ・イーナをはじめとする現在のリーズナブルなラインのソレラを買収した際には、そのソレラの移転プロジェクトの陣頭指揮を取り、買収前よりもさらに高品質なシェリーに育て上げたことでも大変な評価を得ています。
また、ロンドンのインターナショナル・ワイン・チャレンジにおいて2009年から2015年にわたり、その年の酒精強化ワインにおける世界最優秀醸造家に選出されました。この記録は世界中のどの醸造家でもなしえなかった偉大な記録です。また彼は、2015年に同ワインチャレンジではエミリオ・ルスタウ社は45個のメダル、そして10個のゴールド・メダルを獲得するという輝かしい結果に導きました。
これらの偉大な功績から、へレサノ(へレスの人びと)にとっては彼は大変な誇りだったのです。
スペイン人というととても陽気なイメージがありますが、マノロ・ロサ―ノさんは非常に穏やかで静かに話をし、私のようなまだまだ経験の浅い人間にもいつも親切に優しく接してくださいました。後進の育成にも積極的で、カディス大学の醸造学部をはじめとするさまざまな研修にも積極的に参加し、その知識を惜しみなく伝えていました。
心からお悔やみを申し上げます。
2015年11月のインターナショナル・シェリー・ウィークのツイッターテイスティングにて。
同社のシェリーはもちろんのこと、他社のシェリーについても様々な角度からテイスティングコメントを話されていて、とても勉強になりました。