今日はシェリー原産地呼称統制委員会のウェブサイトの「Meet the maker」の翻訳を掲載します。原文(英語)の記事はこちらをご覧ください。
Meet the maker
ホセ・マリア・キロス・サカルガ
(José María Quirós Sacaluga)
シェリー業界には何年携わっていますか?また、ボデガス・トラディシオンでは何年勤務していますか?
私はシェリー業界には1978年より携わっています。そしてボデガス・トラディシオンには2004年から勤務しています。
シェリーの醸造家になりたくなったきっかけは何ですか?
私の父は醸造家で、ほぼ亡くなるまでシェリー原産地呼称統制委員会で働いていました。そのため私の家には常にシェリーがあります。私が子供のころからそれは常に一家の「生活様式」なのです。
どのシェリーを最も誇りに思いますか?そしてそれはなぜですか?
私にとって卓越したシェリーはアモンティリャードです。私たちのアモンティリャードは10から12年の生物学的熟成を経ており、それがワインに特有のボデガのスタイルを与えます。しかしながら、それは典型的な爽やかに引き締まったタイプではありません。研ぎ澄まされたアモンティリャードは味覚には負荷をかけることにもなり得ます。私たちのアモンティリャードはアロマティックでボディーがあり、そしてスムースです。
もし私がそれに欠陥を見つけなければならなかったとしたら、それは積極的に分類することができなかったということでしょう。それはすべてを完全になめらかにする生物学的熟成のバランスによるものです。私たちのアモンティリャードはクリアデラに入るときには揮発酸度が 0.1 g/l、そして総酸度は4 g/lです。この段階から凝縮が始まります。私たちはそのワインをアルコール度数15度でクリアデラに入れ、それはゆっくりと樽のアロマをもたらして19度にまでなります。そのワインは樽からバニラの香りが抽出され、これらの多糖類が素晴らしい滑らかさをもたらします。その後およそ45年までそのワインは熟成します。これが私がボデガス・トラディシオンで最も誇りに思うワインです。
あなたが好きなシェリーのタイプは何ですか?そしてなぜですか?
アモンティリャードです。しかし、それは難しいワインです。どんな場合にも適するものではありません。その一方で、パロ・コルタドは素晴らしいです。なぜならば私にとっては素晴らしいバランスを持っているからです。それは10ポイントのワイン、完璧なワインです。それでもなお私はアモンティリャードのほうが好きです。
あなたのお気に入りのシェリーのペアリングは何ですか?
私はバンデリージャスのような塩漬けの食品とピクルス、モハマ、魚の卵などとの組み合わせが大好きです。
シェリーと他のワインとは一線を画しています。--シェリーのどの部分が最も興味深いと思いますか?
シェリーは何から何までユニークです。それは世界中のどんなワインとも比べようがありません。なぜ?それはヘレスの醸造家たちは、他の醸造家たちの反対のことをしているからです。
誰もがワインを酸化から守ります。しかし私たちはその反対のことをします。他のワインメーカーは彼らのワインが5年熟成すると樽を取り除きます。私たちは反対のことをします。実際にはボデガス・トラディシオンではシーズニングが30年以下の樽は使いません。私たちにとってはタンニンの影響、樽の特徴はワインの欠陥とみなします。シェリーを入念に作り上げる工程には、生物学的熟成や酸化熟成、クリアデラやソレラなどなどの様々な要因が含まれます。それが私たちを違うものにし、世界の他のワインとは無比のものにします。
革新と改革の計画はありますか?シェリーの未来についてどうお考えですか?
私たちには革新の計画はありません。それどころか、ボデガの創立者であるホアキン・リベイロさんは「私は最高のワインが欲しい。しかしそれは常に行われてきた方法によるものだ。」とおっしゃったものです。トラディシオンには1,000,000リットルのワインがあり、年間に30,000本を販売することが私たちに許されています。私たちのパロ・コルタドは供給量を超える需要がありますが、私たちはこれ以上造ることはできません。私たちは200を超える樽から年間におよそ1,200リットルを引き抜きます。そして蒸発によるワインの喪失は私にとっては「サカ(ワインを樽から引き抜くこと)」のようなものです。そして私たちはそれを入れ替えなくてはなりません。私たちが1リットルのワインを販売したかったら、私は樽の各列で3から4リットルのワインを入れ替えなくてはなりません。私はワインよりもはるかに多くの蒸発によって失われたものを入れ替えているのです。
あなたの最も早いシェリーの思い出は何ですか?
私が生まれさえする前に、私の家にはシェリーがありました。私が6歳か7歳の時に私の父がサンプルのワインとモストを収穫から持ってきました。私は彼が試験管と様々なその他の器具を持っていたのを覚えています。私はとても小さく、彼を手伝いたかったのです。彼はpHテストをしていました。もちろん私は彼が何をしているのか分かりませんでしたが、彼がワインの一滴を試験管に入れるとそれは色がピンクに変わったので、たった6歳か7歳で私は彼に私の判定を下すことができました。
この記事はシェリー原産地呼称統制委員会の許可をいただき、翻訳・掲載をしています。
ボデガ情報
ボデガス・トラディシオン(Bodegas Tradición)
住所:
C/ Cordobeses, 3 11408 Jerez de la Frontera Cádiz, Spain
電話: +34 956 168 628
Web: http://www.bodegastradicion.es/index.php/es/