悲しいお知らせがありました。
敬愛するカディス大学の教授のカルメロ・ガルシア・バロッソ博士) (Profesor Carmelo García Barroso)がお亡くなりになりました。63歳でした。
バロッソ博士が率いる研究チームはシェリーの利用の可能性について数々の研究をされていました。
最近はシェリーを生産する工程で出てきたぶどうの搾りかすを使ってジャムやクッキーを作ったり、フロール(仮性産膜酵母)を生かしたパンの開発です。
その他にSKIN WINEというプロジェクトでも中心的な役割を果たし、シェリーを作る際に出たものから化粧品(セラム、クリーム、スクラブ入りのパックなど)や、シェリービネガーを使ったシャンプーも開発されました。
また、1990年代にバロッソ博士が陣頭指揮を執ったプロジェクトがありました。
ペドロ・ドメック社がラ・イーナ・シリーズのブランドをボデガス・カバジェロに売却したときに、ラ・イーナの樽をアルコス通りにあるルスタウのボデガに運ぶ際にフロールが壊れてしまう問題に直面しました。
さらに何とか樽を移動させたものの、フロールがなかなか戻らない…そこでバロッソ博士が率いるチームが参画しいかにフロールにダメージを与えないか、そして早く復活できるような環境にするかの研究がなされたのです。バロッソ博士曰く「あれほど大変なプロジェクトはなかった」とのことでした。今現在美味しくラ・イーナが飲めるのもバロッソ博士の尽力のおかげでもあります。
シェリー生産地域において、博士は数えきれない大きな業績を残されました。
また多くの学会を主催し、私もぺぺもいつも参加させていただきました。分かりやすく、そして楽しい体験ができる博士の講演は学会の楽しみのひとつでした。
あまりにも早すぎるお別れに言葉がありません。博士のご冥福を心からお祈りいたします。