先日Facebookを見ていたら、ヘレスの目抜き通りカジェ・ラルガ(Calle Larga)の空き店舗のガラスに『TOURIST GO HOME』と油性マジックでいたずら書きがされていたという書き込みがありました。
今年に入ってから、バルセロナに昔から住んでいた老人が、家賃高騰のため生活が出来なくなり泣く泣く引っ越しを余儀なくされたというニュースが流れました。バルセロナではここ数年、マンションなどの部屋に定住する人に部屋を貸すよりも民泊サービスに部屋を出したほうが、収益率がいいとのことで、古くから住んでいる住民に家賃の引き上げを大家さんが要求するケースが激増しているのだそうです。
また、昼間から路上で酔っぱらって吐く、放尿をする、全裸でスーパーマーケットで買い物をするなどバルセロナ観光客のマナーの悪さもここ最近ニュースで頻繁に報道されています。まさにバルセロナの地元の方たちは「うんざり」といった様子です。そんな雰囲気の中、最近ではバルセロナの過激派と称する人たちが『TOURISTS GO HOME(旅行者は家に帰れ)』というスローガンを掲げ、観光バスのタイヤを引き裂いて、車体にこのスローガンをペンキで書くなどの嫌がらせが起きているとのこと。
そんな中、ヘレスの目抜き通りの空き店舗のガラスに『TOURIST GO HOME』と油性マジックでいたずら書きがされたという書き込みがありました。
ヘレスはスペインで三番目に高い失業率をマークしました。2016年の調査ではその数は」36.1%。(ちなみにヘレスの隣町のサンルーカル・デ・バラメダの失業率は37.9%で、スペイン第2位の失業率。)おそらく若年層の失業率はこれよりもはるかに高いレートになっていると思います。
ヘレスはシェリー酒とフラメンコと馬で有名な町ですが、これらは観光にも当然つながりますし、重要な産業の一つです。また、ヘレスではマナーの悪い観光客の問題はインターネットでも新聞でも、街中の話題でも取りざたされていません。少なくとも私が住んでいる2年間ではマナーの悪い観光客は見たことはありません。にもかかわらず、『TOURIST GO HOME』の書き込み。観光産業が増えれば、たとえ一時雇用でも雇用が増えるのは確かです。それにも関わらず、こういった書き込みをするというのは本当に思慮が足りないなと思います。
(TOURIST GO HOMEの書き込みを掃除してくださった方がいて、だいぶきれいになってきたところです。もっとくっきりと書き込まれていました。)
バルセロナで起きたことがかっこいいと思った人が書いたのか、それとも何か本当に観光客からの嫌がらせ行為で大変な思いをした人が書いたのか、真実は分かりません。ただ、一般的なモラルとヘレスの深刻な失業率の高さを考えると、私はこの書き込みをとても恥ずかしいと思わずにはいられませんでした。